五七五七七、独特の日本語のリズムですな。
このページでは五七調や七五調などの言葉を集めていきます。
短歌や俳句などが多くなると思います。
★寄せ集め
かにかくに祇園はこひし寝(ぬ)るときも枕のしたを水のながるる
(吉井勇の第一歌集『酒ほがひ』に収録)
かにかくに渋民村は恋しかりおもひでの山おもひでの川
(石川啄木の第一歌集『一握の砂』に収録)
散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする
ちょんまげ頭を叩いてみれば、因循姑息の音がする
総髪頭をたたいてみれば、王政復古の音がする
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
(寺山修司)
ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟
(与謝野晶子の歌集『夏より秋へ』に収録)
七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき
(『後拾遺和歌集』に収められた兼明(かねあきら)親王の歌)
八雲立つ出雲八重垣妻籠(ご)みに八重垣作るその八重垣を
(スサノオが詠んだ、日本最古とされる和歌)
田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける
田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
(山部赤人の歌。上は万葉集、下は新古今集に収録)
男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす
(俵万智の第3歌集『チョコレート革命』に収録)
名にし負はばいざ事問はむ宮こ鳥わが思ふ人はありやなしやと
(在原業平『伊勢物語』第九段)
明日ありと思う心の仇桜夜半(よわ)に嵐(あらし)の吹かぬものかは
(親鸞が9歳の頃に詠んだ歌)
みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ
(大橋巨泉がパイロット万年筆「エリートS」のCMでしゃべったセリフ)
人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり
(武田信玄の言葉。後世の創作といわれる)
心こそ 心迷わす 心なれ 心に心 心許すな
(沢庵宗彭が著した『不動智神妙録』の最後に出ている歌)
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな
(七福神の乗った宝船の絵にこの回文歌を書いたものを枕の下に入れて眠ると良い初夢を見られるとされる)
敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花
(本居宣長が詠んだ歌。日露戦争の戦費調達のため発売された煙草の銘柄「敷島」「大和」「朝日」「山桜
やってみせ 言って聞かせて させてみせ、 ほめてやらねば 人は動かじ
(山本五十六)
為せば成る 為さねば成らぬ 成る業を 成らぬと捨つる 人の儚さ |
武田信玄 |
為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり |
上杉鷹山 |
親も無し 妻無し 子無し 版木無し 金も無けれど 死にたくも無し
(林子平が蟄居中に言った言葉。彼は六無斎(ろくむさい)と号した)
なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる
(西行が詠んだとされる)
春は花 夏ほととぎす 秋は月冬雪さえて 冷(すず)しかりけり
(川端康成がノーベル賞の授賞記念講演「美しい日本の私―その序説」の冒頭で引用した道元の歌)
三千世界の鴉を殺し、主と添寝がしてみたい
(高杉晋作の作と言われる都々逸)
ギヨエテとは おれのことかと ゲーテ云ひ
(斎藤緑雨)
★まとめたもの
§ 辞世
つひに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを | 在原業平 |
願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月の頃 | 西行 |
石川や浜の真砂はつきるとも世に盗人の種はつくまじ | 石川五右衛門 |
露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢 | 豊臣秀吉 |
昔より 主を討つ身の 野間なれば 報いを待てや 羽柴筑前 | 織田信孝 |
散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ | 細川ガラシャ |
風さそふ花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとやせん | 浅野長矩 |
あら楽し思いは晴るる身は捨つる浮世の月にかかる雲なし 極楽の道はひとすぢ君ともに阿弥陀をそへて四十八人 |
大石内藏助 |
この世をばどりゃお暇(いとま)に線香の煙とともに灰(はい)左様なら | 十返舎一九 |
快く寝たらそのまま置炬燵(おきごたつ)いけし炭団の灰となるまで | 仮名垣魯文 |
うつし世を神さりましし大君のみあとしたひて我はゆくなり | 乃木希典 |
いでまして帰ります日のなしと聞く今日のみゆきにあふぞ悲しき | 乃木静子 |
益荒男が たばさむ 太刀の 鞘鳴りに 幾とせ耐えて 今日の初霜 散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹く 小夜嵐 |
三島由紀夫 |
§ 俳句
夏目漱石
- 東西南北より吹雪哉
- 叩かれて昼の蚊を吐く木魚哉
- 別るるや夢一筋の天の川
- 有る程の菊抛げ入れよ棺の中
夏目雅子
- 水中花何想う水なのか
- ぬぐってもぬぐっても汗みどろ
- 間断の音なき空に星花火
- 結婚は夢の続きやひな祭り
滝瓢水(たき・ひょうすい)(滝野瓢水)
- 手に取るな やはり野に置け 蓮華草
- さればとて 石にふとんも 着せられず
- 浜までは 海女も蓑着る 時雨かな
- さてはあの 月が鳴いたか ほととぎす
西東三鬼
- 水枕ガバリと寒い海がある
- 算術の少年しのび泣けり夏
- 中年や遠くみのれる夜の桃
- おそるべき君等の乳房夏来(きた)る
§ 短歌
若山牧水
- 白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
- 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり
- 幾山河越えさり行かば寂しさの終(は)てなむ国ぞ今日も旅ゆく
★百人一首
難波津(なにわづ)に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花
(競技かるたの開始時に詠まれる歌)
《編集中》